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RAIDの構築

概要

  ソフトウェアRAIDの構築とディスク故障時の復帰方法を述べる.ソフトウェアRAIDの実現手法として,DM (Device Mapper) とmd (Multiple Devices) があるが,ここでは後者を利用した構築方法について説明する.

RAID1

構築

  以下では,/dev/sdaと/dev/sdbを組み合わせてRAID1を構築する場合を例に示す.

デバイスファイルの作成

# mdadm --create /dev/md1 --Level=1 --raid-devices=2 /dev/sda /dev/sdb

  上記コマンドで,/dev/md1にRAID1を構築する.RAID1の構築に,/dev/sdaと/dev/sdbを使用する.--raid-devicesオプションで使用するディスク数を指定する.

  コマンド実行後,RAIDが構築されるが,これには少々時間が掛かる.以下のコマンドで進捗状況を確認できる.

# cat /proc/mdstat

設定ファイルの記述

  このままでは,マシン再起動後にはRAID情報が失われるので,再起動時にもディスクを認識できるよう,設定ファイルを記述する.

  まず,以下のコマンドで現在のディスク構成情報を確認する.

# mdadm --examine --scan
ARRAY /dev/md1 Level=raid1 num-devices=2 \
 UUID=397eb5bc:2b8efc23:14593eda:61f26147
# vi /etc/mdadm.conf
--
DEVICE partitions
ARRAY /dev/md1 Level=raid1 num-devices=2 \
 UUID=397eb5bc:2b8efc23:14593eda:61f26147

  DEVICE行に,RAID1を構成するディスクを記述する.「DEVICE /dev/sda /dev/sdb」とも書けるが,「DEVICE partitions」と書くと,/proc/partitionを参照し,ある程度自動に判別する.

ファイルシステムの作成

  以下のコマンドで,ファイルシステムを作成する(以下はext3の場合).

# mke2fs -j /dev/md1

  ここでようやくマウント可能になるので,マウントして動作を確認./etc/fstabに記述することも可能.

障害時の対処

  以下,/dev/md1を構築するディスクのひとつ,/dev/sdbが認識できなくなった場合を例に,RAID1の再構築手順を示す.

  以下のコマンドでRAIDの状況を確認する.

# cat /proc/mdstat

  出力の中に[UU]とあれば,2つのディスクとも動作しており,[U_]となっていれば,片方のディスクしか動作していないことを表す.

  以下のコマンドで障害の生じているディスクを確認する.

# mdadm --detail /dev/md1

  問題のディスクを取り出し,代替ディスクの挿入後,次のコマンドにより復旧作業をおこなう.このコマンドは,新しいディスクが/dev/sdcに挿入された場合である.

# mdadm /dev/md1 --add /dev/sdc

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