しおり
しおりとは,acroreadなどでpdfを表示する際に,ウィンドウの左側に表示される目次のようなものである.このしおりを使うことで,文章の構成を大まかに把握したり,特定の項目に移動することが簡単にできる.
beamerには,標準でしおりを付ける機能が備わっている.以降では,しおりを付ける方法について述べる.
しおりをつける
beamerでしおりを付けるには,次のコマンドをtexの文章中に記述する.
- section{}
- subsection{}
- subsubsection{}
カッコの中に記述する文字列が,しおりの項目名に使用される.また,section,subsection,subsubsectionを使い分けることで,階層化をすることも可能.
文字化け対策
しおりは,標準の仕様ではUnicodeのみがサポートされている.EUCを使う場合は,そのままではしおりの日本語が文字化けする.このため,Unicodeを用いない際には,何らかの対策が必要である.
以下では,EUCを利用する人のための対処策を述べる.ここで,dviからpdfを生成する際の方法によって,対処の仕方が異なることに注意する.具体的には,(1)dvipdfmxを用いる場合と,(2)dvipsおよびps2pdfを用いる場合で,対処の仕方が異なる.以降,それぞれについて述べる.
dvipdfmxを用いる場合
次のコードをプリアンブルに記述しておくことで解決できる.これにより,しおりの部分の文字列が,自動でUnicodeに変換される.
\ifnum 42146=\euc"A4A2 \AtBeginDvi{\special{pdf:tounicode EUC-UCS2}}\else
\AtBeginDvi{\special{pdf:tounicode 90ms-RKSJ-UCS2}}\fi
ただし,実行にはEUC-UCS2というファイルが必要.texをインストールする際に,標準でシステムに入る場合はこのままコンパイルできるが,無ければコンパイルできない.私がこれまで経験したなかでは,Vine 5.0, Mac OSXには含まれているが,Debian lennyには入っていなかった.
システムにEUC-UCS2が無い場合,以下のようなサイトから取ってくる.取ってきたら,cmapファイルの置かれているディレクトリ,またはカレントディレクトリに置くと,コンパイルできるようになる.
http://sysinf0.klabs.be/usr/share/texmf/dvipdfm/CMap/EUC-UCS2?dist=;arch
dvips & ps2pdfを用いる場合
dviに含まれるしおりの文字列を,Unicodeに変換するPerlスクリプトが,以下のサイトで公開されているので,これを使用する.
http://www.rmatsumoto.org/tex-ps-pdf/convert-euc.txt
上記スクリプトをダウンロードしたら,次のコマンドを実行すればよい.これは,hoge.dviをpdfに変換する例である.
$ ls
hoge.tex hoge.dvi
$ perl convert-euc.txt < hoge.dvi > hoge_new.dvi
$ dvips hoge_new
$ ps2pdf hoge_new.ps